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所長あいさつ

瀬川 至朗(あいさつ)

早稲田大学メディア文化研究所長
早稲田大学政治経済学術院教授
瀬川 至朗

 20世紀から21世紀にかけてメディアの風景は劇的に変化しました。

 かつては、放送設備や映画館、輪転機、印刷機などを有するマスメディア企業がメディアの中心でした。マスメディアが発信する情報が多くの市民に同時に届けられる仕組みはマスコミュニケーションと呼ばれ、時代を支配していました。

 21世紀にはインターネットが急速に普及し、個人が情報発信できるようになりました。個人と個人がソーシャルメディア(SNS)でつながり、スマートフォンなどを使ったパーソナルなコミュニケーションが日々の生活に浸透しています。ソーシャルメディアは、これまで一方向だった政府、企業、マスメディアと市民の関係を双方向にかつフラット化するプラットフォームになりました。

 マスメディアと同時にソーシャルメディアを活用できる現代人は、20世紀前半にアメリカの哲学者ジョン・デューイ(1859年-1952年)が、公衆(public)による大共同社会(Great Community)実現の条件だと指摘した「精巧で、微妙で、生気に満ち、かつ敏感なコミュニケーションの技術」(『公衆とその諸問題』阿部齊訳)をついに手に入れたと言えるのかもしれません。

 しかしながら、メディアをめぐる状況は決して楽観的には語られていません。ジャーナリズムとして公共的な役割を担ってきたマスメディアの影響力が低下し、メディア経営は困難さを増しています。デジタル参入のビジネスモデルも大きな課題です。一方のソーシャルメディア上では、さまざまな社会問題をめぐって意見が二極化し分断される状況になっています。ソーシャルメディアが理性的な合意よりも感情的な対立の方を生みやすい点が懸念されています。

 このようなメディア環境のもと、今日ほど、新しいメディアのあり方が議論されている時代はなかったのではないでしょうか。早稲田大学メディア文化研究所は2003年10月にプロジェクト研究所として設立されました。設立時に「メディアが果たすべき役割、その役割実現のための課題、問題解決の道筋を明らかにし、その推進を目的とする」と謳ったとおり、以来、インターネット時代におけるメディアの新しいあり方について、公共性、地域性、商業性という視点をもちながら、幅広い方々と議論し、研究に取り組んできました。

 本研究所には、早稲田大学の教員(研究所員)のほか、多様なメディアの現場で活躍してきた、あるいは現に活躍している実務者の方が招聘研究員として参画し、研究所の活動を積極的に支えてくれています。アカデミアとメディア実務家の連携は本研究所の特徴であり強みであると考えています。

 早稲田大学メディア文化研究所の研究・活動にたいするご理解ご支援と同時に、一緒に研究・活動を進めてくれる方の参加を心よりお待ちしています。

 

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